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2015年3月

物理学会第70回年次大会の展示会に出展しました

平成27年3月24日

3月21日~24日の4日間にわたって、早稲田大学で開催されていた「日本物理学会」の70回年次大会付設機器展示に出展していました。 

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                      (写真は後で差し替え)

物理学の実験に使っていただけるような機械を展示する展示会が、学会の会場の横で行われているわけです。真空関係や、液体窒素、冷凍機、光電子増倍管、光学結晶、書籍などのブースがありました。

特殊電子回路はZYNQ搭載のADCボード「Cosmo-Z」を展示して、宇宙線が入るとブース全体が光るというデモを行っていました。

上の写真を見ていただくとわかるように、「さらばNIM/CAMAC」というキャッチコピーが書かれた旗が立っています。

NIM/CAMACというのは、放射線などの計測でよく使われている規格です。放射線や素粒子の世界では、NIM/CAMACのモジュールをいっぱい並べてLEMO規格の同軸ケーブルでプチプチとつないで計測システムを構築していくのですが、1つ1つのモジュールというのが「オペアンプ」とか「ゲート」とか「遅延線」とか、そういうレベルのものなのです。

この古くて高い規格に縛られるのをやめて、計測の信号処理をアナログでやるのではなく、高速ADCとFPGAを使ってより高度な測定をしようという趣旨の展示でした。

素粒子、核物理、宇宙、加速器の研究者だけではなく、プラズマや量子コンピュータなどの方からも好評をいただきました。

いろいろな方の意見を集約すると、

  • 素晴らしい、良い、ぜひ欲しい、などの肯定的な評価
  • 実績などの問合せ
  • FPGAの開発は難しいのか?自分でやるのか?自分でできるのか?
  • どのくらいのレートまで耐えられるのか
  • 計測結果はどのような形で出力されるのか

でした。

よく聞いた言葉で「レート」というのがありましたが、この分野では1秒間に何回のイベント(素粒子や放射線など検査対象のものが検出器に入ること)が起きるかを意味していたようで、ADコンバータの変換速度のことではないようです。

「計算上、毎秒100万回のイベントが32chすべてで発生しても大丈夫」と説明するのですが、なかなか信じてはもらえないようでした。毎秒100万回のイベントというとこの世界ではかなり多いほうなのですが、次世代ハイビジョンTVとかと比べると大したデータ量ではありません。SATAのHDD/SSDをフルに動かせば全部のイベントの特徴量を記録できます。ああ、娯楽用の民生品はなんと莫大なデータを扱っているのでしょうか。

Cosmo-Zで毎秒1Mイベントが処理できることを実証するために、疑似的な信号をFPGAで作ってシミュレーションしていかなければならないという気もしました。

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Cosmo-Zの最大の難しさは、研究内容に合わせてFPGAを開発しなければならないところです。

多数のお客様が共通して必要とする機能はCosmo-Zの標準サンプルに含めるつもりだし、一応、私も物理出身なので、お客様の研究の内容はだいだい理解できてFPGAをカスタマイズできるのですが、お客様としてはやはり自分の研究室でちょこちょことした改良はしたいところだと思います。

そこで、自社ブースにこんな貼り紙をしておきました。

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はい。物理系の学生さん、大募集です。仕事の内容は、FPGAの回路設計や、組み込みARMマイコンのプログラム開発(C、C++)です。もちろん、物理系の学生さんでなくても構いません。

この貼り紙をじーっとみてくれる方も結構いらっしゃいました。某研究所のお客様がいうには激レアバイトだそうです。「学生のころ家庭教師なんてやらずに、こういうことがやりたかった」と言ってくれた研究者の方も多数いました。

3日目にいろいろ聞いてきてくれた東工大の学生さん、このブログを見ていたら、ぜひ、連絡してきてね!FPGAで物理計測やりましょ!

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Cosmo-Zが展示4日目に頻繁にリブートを繰り返していました。密閉されたアクリルケースに入れて運転していると、どうしても熱がこもってしまうようです。

冷却用にヒートシンクと扇風機をつけたのですが、あえてグルー(ホットメルト)で固定することにしたのです。熱くなると溶ける。すると、ファンに絡まって止まる。冷却能力がなくなるうえ、ファンが発熱してさらに熱くなる・・

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展示4日目でこの状態に達しました。やっぱりヒートシンクはグルーで止めてはだめですね。アクリルの箱から出したらちゃんと最終日の最後の時間まで動いてくれました。

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1日の来場者は約10人。誰もお客さんがいない暇な時間が相当あります。

向かいのブースで書籍を販売していたので、何か一冊と思い、買って読んでみました。

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一言でいって、とても面白い!お客さんがいない暇なときに(いや、お客さんが来ていても気づかず)読み耽ってしまいました。

私のような専門外の人でもわかりやすくQCDが説明されていて、いままで理解できなかったゲージ変換とか、ファインマン・ダイアグラムをどう計算をするかのさわりが理解できました。なるほど素粒子の研究にスパコンが必要なわけだ、と妙に納得できるわけです。

応用物理学会の展示3日目と4日目

平成27年3月14日

どうやら、素粒子系のプログラムは2日目がピークだったようですね。

3日目は少し人が少ないように感じました。

でも、ET2014などの商業展とは異なり、ひとりひとりのお客様が、極めて高い関心を持って見てくれるのを感じました。まるで高エネルギー宇宙線のように一人ひとりのエネルギーが桁違いです。

当社ブースを訪れていただいたお客様は、全部で12人くらいだったと思いますが、多くの教授・助教授・助教の方々に見ていただくことができて、大成功だったと言えます。

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今回、いろいろな方からご質問いただいたことをパネルやパンフレットにまとめて、今週末の物理学会に臨むことにします。

 

応用物理学会の展示2日目

平成27年3月14日 

昨日、家にポスターを忘れてきてしまったので、今日こそはと思い、大事に持っていきました。

しかし、

 小田急線の網棚に忘れてきてしまった・・・・rain

どうして、こう、ドジなんでしょう。

 

今回のポスターには縁がなかったのでしょう。昨日作った8分割ポスターで十分と割り切りました。

今日は朝から結構お客さんが来ていたのですが、アルバイトのスタッフにかなり助けられました。

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Cosmo-Zも、この32chの姿を見ていただくと、皆、とても驚かれていました。

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応用物理学会の展示会1日目 

平成27年3月11日

今日から応用物理学会です。

物理の世界に戻ってこれたとワクワクしながら会場に向かうのですが・・・、電車の中で重大なことに気が付きました

        商品説明ポスターを家に忘れてきてしまった・・rain

あうあうあー

 

ポスターがないと、何のブースかわからないし、人がどんどん素通りしていきます。

とりあえずパンフレットを貼ってみたところ・・

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何ともいえない哀愁。

却ってさびしいです。

会場となった東海大学湘南キャンパス内でを隅々まで探し回ったのですが、B2のポスターを印刷できるところは学内にはおろか、周辺の商店街にもありません。小田原まで行けば・・という感じでした。

学外者が印刷できる唯一の手段はキャンパス内にあるローソンのプリントサービスでした。ローソンならA3までの印刷ができます。

特電のポスターを8分割して、A4サイズ8枚をつなぎ合わせます。

そして・・

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できた!happy01

ついにブースが完成です!

がさごそと作業しています。

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まわりの人たちも哀れに思ってくれていたのか、ポスターが完成して、「宇宙線が入ると光る」デモが動いたときには、ちょっとだけ歓声があがりました。

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それから、通りかかる人が少しだけ足を止めてみてくれるようになりました。

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怪しげなスペクトラムも表示されています。

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というわけで、特電ブースが完成したのは、1日目の15:30ごろになりました。 

 

応用物理学会の準備

平成27年3月10日 

明日から応用物理学会が始まり、特電も付設展示会に出展します。

そのための準備で大忙し。

その上、今日から特電に新しいメンバーが入ってくるのと同時に、2年前から特電を支えてくれていた学生アルバイトK君の最後の出勤日という、ウルトラC級の一日でした。

K君は、最後の1日に、フォトマル用の端子台やCosmo-Zのパネル加工や冷却方法の考案、宇宙線が入ると光るLEDテープライトなど、とてもたくさんのことを成し遂げてくれました。最後の最後まで素晴らしいものを残してくれました。

今日から新しく入ったHさんは、今日はあまり時間がなかったのですが、自己紹介のあとCosmo-Zの32ch化バージョンを組み立ててくれました。

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Cosmo-Zは最終的には、直径90mmのパイプに入れる必要があるのですが、組み立てた状態で入れてみると、けっこうキツキツで、アクリルのパイプに傷ができました。

Cosmoz32ch

どうやら、このパイプは90mmで注文したのに89.7mmくらいしかないようです。アクリルの精度はそのくらいなのかもしれません。

そして、みんなでヨドバシの上に昼食を食べにいったところ、特電のほとんどの人はアニメ系だったということが判明。私はアイカツとかわからないんですけどね。

戻ってきたらポスターとかパンフレットとかを大忙しで作りました。

 

そして、夜、家に帰ってから「宇宙線が入るとLEDテープライトが光る」のデモを試してみました。

2つのプラスチックシンチレータとフォトマルがあって、同時に「何か」を検出するときだけ光らせるようにしてみました。

Cosmozpmtcoinc

大成功!

明日からの応用物理学会の付設展示会で披露するのが楽しみです。

 

第62回 応用物理学会春期学術講演会の付設展示会に出展します!

平成27年3月9日

特殊電子回路㈱は、第62回 応用物理学会春期学術講演会付設展示会「JSAP EXPO Spring 2015」に出展します。

開催概要

  • 会期 2015年3月11日(水)~14日(土)
  • 時間 10:00~18:00(最終日は正午まで)
  • 会場 東海大学 湘南キャンパス 総合体育館 ブース   E-4
    (〒259-1292 神奈川県平塚市北金目4-1-1)
  • 参加費 無料

    http://www.tokudenkairo.co.jp/jsap2015.html 

今回の展示会ではZYNQ搭載のA/D変換ボード「Cosmo-Z」の新バージョンをフル装備で披露します。Cosmo-Zはミューオンを利用して巨大構造物の中を透視すること(ミューオグラフィ)のために開発したボードです。

最近では火山とか、福島第一原発とかでミューオグラフィが使われるようになってきました。Cosmo-Zはそのようなミューオグラフィに最適な高速ADCを多数備えています。

フル装備というのは何かというと、32chまで拡張した姿ということです。32個のADCがあれば256個の光電子増倍管をつなげることができるのです。これがCosmo-Zの最終形態なのです。

 

JSAP EXPOの展示会場では光電子増倍管(フォトマル)を2個つないで、宇宙線検出のデモを行います。今日は、動作チェックを行いました。

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今日は、このデモ機の構成がちゃんと動作するかの確認を行いました。

上の写真の液晶パネルみたいなのは、実はFT103という大型Androidタブレットです。Android4.04という超古いOSなのですが、ブラウザだけは動きます。Cosmo-Zはブラウザの中から操作できます。

Cosmo-Zの左にあるのはPower Over Etherハブです。要するに電源供給用です。

左上にあるのが光電子増倍管が入ったアルミケースです。

このような構成で、実際に機器を動作させてデモします。

もし、応用物理学会にお越しの方がいらっしゃいましたら、E-4番、特殊電子回路ブースまでぜひともお越しください。

それから、もし、「なひたふ」とゆっくりお話しがしたいという方がいらっしゃいましたら、

http://www.tokudenkairo.co.jp/jsap2015.html

のページから時間のご予約をいただければ幸いです。

ご指定いただいた時間に貴殿をおもてなしし、ゆっくりとお話しができるように時間を確保しておきます。

Cosmo-Zの新バージョンができあがり 

平成27年3月6日(金)

Cosmo-Zの新バージョンができあがってきました。

現在のところ、3月中に6台作らなければならないのですが、新基板の様子をみるため、とりあえず2台だけを先に作りました。

Cosmoznewx2

Cosmo-Zの新版で何を変えたかというと、いろいろあるのですが・・

  1. GTXコネクタの間隔を広くしてSMAケーブルが干渉しないようにした
  2. GTX、SATAに保護ダイオードを挿入
  3. GTXの信号をコンデンサでカップリングする
  4. 基板エッジマウント型のSMAコネクタのFootPrint変更
  5. Power Over Ether回路の全部品が乗るよう、コンデンサの形状変更
  6. アナログ入力の保護ダイオードをGNDに対して挿入
  7. 起動モード設定のためのプルアップ/プルダウン抵抗の変更
  8. SRSTをちゃんとつなぐ
  9. アナログアンプのパワーダウンが可能に
  10. FPGA未起動時にLVDSのクロックが不安定にならないようにする
  11. 1.8Vと3.3Vロジックが混在しないようにした
  12. SDカード周辺の抵抗値を変更し、CDとWP信号が確実に認識されるようにした
  13. GigabitEther PHYのロジック電圧を1.8Vに変更
  14. ADCのリファレンス電圧を「外部VREF」に変更
  15. ADCのSPI配線が間違っていたのを修正

ほかにもいろいろあったような気がしますが、思い出せるのはこんなところです。

新版の動作テスト結果は次のとおり。

  • ZYNQの起動・・・△ ある抵抗の値を20kΩ→1kΩに変更する必要あり。プルアップ抵抗3個を外す必要あり。
  • PowerOverEther・・・× なぜか動かない。何を見落としたか・・
  • EZ-USB FX3・・・○ ばっちりOK。USB-JTAGも動作
  • ギガビットイーサ・・・○ ばっちり動作OK
  • ZYNQとDDR3 SDRAM ・・・○ 動作OK。Linuxも起動。
  • ADC・・・ △ ADCのSPIの配線を変更していたのを忘れていた。FPGAのデザインも直さねば。何とかうごいているよう。
  • アナログ電源・・・ ○ RECOM Powerのレギュレータに変えた
  • SATA・・・ 未検査
  • PCI Express・・・ 未検査
  • GTX・・・ 未検査
  • 拡張コネクタ・・・ 未検査

ADCが8ch使用時に消費電力は6Wくらいでした。ZYNQの温度も50℃いかないくらいです。(特電の社内検証用の1号機の消費電力は10Wで、温度は90℃なので、やはり使い古したZYNQは傷んでる!?)

Power Over Ether以外は動いているようなので、とりあえずは大丈夫かなと思います。

新しい光電子増倍管ケースの作成

平成27年3月4日(水)

先月、特電に入ってくれた新しいアルバイト君が、新しい光電子増倍管ケースを作ってくれました。

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彼に宇宙線やミューオンのことを説明したら、1を聞いて10を知るという感じで、ものすごい勢いで理解してくれました。コンクリの厚さがわかるわけですねとか、光速に近いから寿命が延びているのですねとか、説明しなくてもわかってくれる素晴らしく明晰な頭脳の持ち主でした。

工作も上手で、上の写真にあるハンドドリル一丁で、アルミのパイプの淵に縦穴を掘ったり、コネクタ用の穴をあけたり、さくっと作ってくれました。

光電子増倍管とシンチレータをアルミホイルで包んで、

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配線をはんだ付けして、緩衝剤を巻いたりして、

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これを直径80mmのアルミパイプの中に入れます。

アルミのパイプの中は、遮光性を高めるためと緩衝剤として、天然ゴムのかたまりを詰めています。

 

こうして、2台のプラスチック・シンチレーション・検出器ができあがりました。

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いままで特電で使っていた光電子増倍管ケースはET2014のときに作ったもので、なんと、ダンボール製でした。今回金属ケースになって、大幅に遮光がよくなったためか、パルスのカウントレートがあがった気がします。(遮光が十分でないと小さなパルスが隠れてしまう)

 

ハイボルをつなぐと、バシバシとパルスが出てきます。下の写真はまだCosmo-Zをつないでいないので、光電子増倍管の出力を終端せずにみています。数百ミリVのパルスが、数十ms秒続いています。

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Cosmo-Zをつなぐと50Ωでされるので、パルスの幅は10nsくらい、高さは数十mVになります。電圧も幅も小さくなりますが、時間分解能があがります。

光電子増倍管を2段、縦に積み重ねると、2つの光電子増倍管を貫く方向から来た「何か」を検知できます。

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オシロのトリガで見ていると、同時にイベントが起きるときは、たいてい大きなパルスです。ミューオンなのかもしれません。

新人君のおかげで、とてもカッコいいセンサが、あっという間にできあがりました。

今週末はCosmo-Zにつないで計測できるように、FPGAの改良を行っていきたいと思います。

Cosmo-Zの装置内Webページを更新

平成27年3月2日(月)

Cosmo-Zの装置の中に入っているWebページ、すなわちコントロールパネルを更新しました。

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だいぶん、すっきりしました。

シンプルな画面ですが、Ajaxを使ってCGIを呼び出すなど、結構複雑なことをしています。

ZYNQの中で計っている現在の時刻とか、FPGAのバージョン、ADCのリンクアップ状態、FPGAの温度などをリアルタイムに表示するようにしました。

FPGAの温度はZYNQに内蔵のXADCを使って測っています。ん?84℃。めちゃくちゃ熱いじゃん。

次は「計測メニュー」でも作ることにします。

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