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2015年7月

Cosmo-Zの16bit版を作ってみた

平成27年7月28日

ZYNQ搭載のADCボード「Cosmo-Z」を16bit化しようとしています。

16bit 8ch 125MHzサンプリングのADCデータロガーになるわけです。

ノーマルのCosmo-ZはAD9633という125MHz 12bit 4chのADCを使っていますが、16bit版ではAD9653を使います。AD9633とピン配置互換ですのでそのまま置き換えられます。Digikeyでも1個 45,273円

これで作ってみました。

Csz16


まず、入力を50Ω終端にして、無信号時のヒストグラムを見てみます。

Csz16_2

結構、揺れています。33540あたりを中心に±20LSBほどは変動しています。1LSBは約31μVですので、±0.6V程度の揺れがあるようです。

時系列で見ていてもわからないので、ヒストグラムを取ってみましょう。

Csz16_1

正規分布よりは三角形に近い感じがしますが、半値幅で12LSBあるので、0.3mVくらいの誤差があると言えるでしょう。12bit版では1LSB≒0.5Vだったので、見えなかったのです。

一方、AD9653のデータシートによれば、入力のノイズは、

Csz16_3

このくらいなので、半値幅で7~8LSBです。AD9653の最高の性能の2倍くらいのノイズが出ていることになります。

原因を切り分けるために、Cosmo-ZのアナログフロントエンドのOPアンプの出力を切り離して、ADCの入力を0Ω抵抗でショートしてみます。すると・・

Csz16_4

半値幅=8となったので、AD9633の生の性能が出せているということになります。

つまり、悪いのはアナログフロントエンドのOPアンプ回路ということです。

さて、アナログフロントエンドを元に戻して、無信号時のスペクトラムを見てみます。

Csz16_5

横軸はkHzですから、DC~40MHzまでのスペクトラムが見えています。
5MHz以下で盛り上がっているのがわかります。

ここで、オーディオアナライザで作った正弦波を入れてみましょう。発振させている周波数は100kHzです。

Csz16_8


スペクトルを見てみると・・

Csz16_6

100kHzのピークのほか、2MHzのあたりに山がありますが、この山は周囲の環境のノイズを拾っているので、Cosmo-Zの性能ではありません。

80MHzでサンプリングしてもよくわからないので、5MHzでサンプリングしてみます。FFTの前に使った窓関数はハニング窓です。

Csz16_7

やっぱり歪が見えていますね。歪率は-70dB~-80dBといったところでしょうか。ただ、このオーディオアナライザも発生させる信号の周波数が高くなると歪率が悪くので、実力はそれ以上はあると思いますが。

アナログ回路で使用しているOPアンプは、100kHzでの歪率は-110dBc以下なので、歪の原因は発振器によるものなのでしょう。

ああ、100kHz~1MHzが出せる、-100dBクラスの低歪発振器がほしい。

なお、1~2MHzあたりの山は周囲の環境から発するノイズを同軸ケーブルが拾っているので、Cosmo-Zで生み出されたノイズではありません。

sun

ADコンバータも16bitクラスになると、もはや「ぴたっ」と値が止まることはなくて、8~10LSBくらいの幅で揺れます。これは回路の作り方の問題ではなく、もともと高速ADコンバータがそういうものだからです。

市販の16bitディジタイザでは「下4ビットは意味がない」と代理店が言い切ってしまうものもありますので、Cosmo-Zではそういうディジタイザよりははるかに低ノイズなのでしょうが、まだまだ改善の余地があると言えそうです。

 

2015.07.21地下鉄の駅でミューオンを測ってきた

2015年7月21日

 

Cosmoz

ZYNQ搭載のADCボード「Cosmo-Z」をアクリルケースに入れたものが、モバイルバッテリーで動くようになりました。

上と下のアルミの筒の中には、プラスチックシンチレータ(放射線が入ると光るもの)と光電子増倍管が入っていて、宇宙線を測ることができます。

アルバイトの学生さんに、東京駅京葉線ホームと大江戸線六本木駅のホームで測ってきてもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、特電のオフィスにおける光電子増倍管の出力波形です。

Kaisha

それから、東京駅京葉線ホーム、

Keiyou

そして、六本木駅

Roppongi

会社は4階なので、おそらく地上15mくらい。

<span style="font-family:;" ar-sa;"="" ja;="" en-us;="" 0pt;="" Pゴシック";="" "MS="" 12pt;="" MS="">大江戸線六本木駅は海抜-42.3mで、六本木の標高は30m程度らしいので、地表面からは70mと推測しています。
JR京葉線東京駅は海抜-29mですが、東京駅は標高3mくらいしかないらしいので、地表面から32mと推測しています。

周囲の高層ビルなどによってもミューオンは減ってしまうのでしょうから、おおざっぱな目安にしかなりませんが、深く潜れば潜るほど大きなパルスが減っていくのがわかります。

スペクトルを取ってみると・・・

Stationspec

30分間の測定ですが、高さ80以上の大きなパルスは、地上と地下で差があります。

また、高さ47あたりのピークは、カリウム40のものと思われます。(塩化カリウムの試薬を置くと、ちょうどこのあたりが増えるため) 地価の深さとはあまり相関がありません。

 

Cosmo-Zを持って屋外の測定をしてきた

平成27年7月16日(木)

昨日、Cosmo-Zを持って外の公園へ行って測定(何を?)をしてきました。

まず、1本のアクリルチューブにすべてのエレキ関係をまとめました。冷却ファンやハイボルまで中に入れました。そして、鉛蓄電池のバッテリボックスで動くようにしました。

Csz0716_1

電池ボックスを作るようアルバイトのスタッフに頼んだのですが、ちゃんと指示が伝わらなかったのか、大きな箱と大きな電池を買ってきてしまいました。

これじゃ、どう見ても不審物です。

 

目標に向けて飛んでいっちゃいそうです。

いや、こうじゃない。もう少し小型で、タカチのケースのようなつるっとした箱に入れてくれてほしかったのですが・・・。仕方ないのでこれで運用することにします。

雨上がりの公園に持っていって、ベンチに置きます。

Csz0716_2

そばに人がいないと、撤去されてしまいそうですね。

Csz0716_3


こんな感じで測定しました。

結果ですが、まず、カウント数は、外のほうが10%程度カウント数が多いようです。何を測っているのかわかりませんが、建物の中のほうが少ないのですね。

Csz0716_4

スペクトルを見てみると、

Csz0716_5

10分間なのでなんとも言えませんが、CH4で見たほう(赤と紫の線)のパルス高さ10~50のに有意な差がある気がします。CH1は感度が悪いのでわかりません。

これが、ミューオンなのか、カリウム40なのかは、これから考えることにします。

 

塩化カリウムの効果をプラスチックシンチレータで測る

平成27年7月6日(月)

特電のプラスチックシンチレータは本当に放射線を測っているのか、それとも実はただのノイズを測っているだけかもしれない、という疑念を払拭するために、プラスチックシンチレータの横に1kgの塩化カリウムを置いてみました。

天然のカリウムにはカリウム40という放射性同位体が0.01%含まれているからです。誰でも手軽に買える放射線源としては塩化カリウムが一番良いのではないかと思います。1kgの塩化カリウムには約0.05gのカリウム40が入っていて、およそ15000ベクレルになります。

これをプラスチックシンチレータの横に置いて約3時間測り、その後、外して約3時間測りました。

K40_ari

↑カリウムの試薬1kgを置いた

K40_nashi

↑カリウムを外した。

 

1分間のカウント数の比較は・・

K40_6h

こんなにくっきり出ました。塩化カリウムを外すとカウントレートが約半分になります。

青い線(ch1)は上側のプラスチックシンチレータですが、約30cm離れていてほとんど差異はないように見えます。

 

スペクトラムを見てみると、パルス高さが20あたりのところで優位な差がありました。なお、スペクトラムが全体的にギザギザしているのはデータ処理の問題(2つのフォトマルのゲインを合わせるために定数を乗算したところで生じたバグ)なので今は無視しておきます。

K40_spec

カリウム40は1.3MeVのβ線か、1.5MeVのγ線を出しますが、拾っているのはたぶんγ線でしょう。このシンチレータの筐体は5mmのアルミで、結構厚いからβ線は入れません。

Cosmo-Zの計測データを解析してみた

平成27年7月6日(木)

Cosmo-Zにパルス計測機能を徹底的にデバッグして、長時間のデータが取れるようになってきたので、SDカードに記録されたファイルを解析してみました。

現在、特殊電子回路㈱・秋葉原オフィスに置かれたCosmo-Zには2台のプラスチックシンチレータとフォトマルをつないでいて、シンチレータにに入った(おそらくミューオンが大部分と思われる)イベントのパルスの大きさや、発生時刻、そして生の波形を記録しつづけています。

また、ZYNQではLinuxが動いていて、Webサーバを持っています。内蔵のWeb画面からデータをダウンロードすることができます。

Csz_files

このデータをダウンロードして、ミューオンのスペクトラムや発生頻度をグラフにしてみることにします。

 

まずは、7月1日の23時ごろから2日の午前5時ごろまでの6時間に測った、1分間あたりのイベント数です。2つのフォトマルは、ゲインが違うので全く同じスペクトラムにはなりませんが、だいたい同じような形になっているのがわかると思います。

Hist0702_2

1分間のカウント数は、CH1(ゲインが低い方)のフォトマルの方が多いのですが、変動も大きいようです。

Cpm0702

 

それからしばらくして、7月5日の19時ごろに6時間測定したときの結果。休日ですから、もちろん、自宅にいながら遠隔操作で測定しています。

Hist0705

CH1のカウント数の変動が大きくなっている感じがします。

Cpm0705

4日経ってもだいたい同じようなカウント数なので、1日とか2日とかでの変動はないことはわかりました。

ただ、CH1の短時間での変動が大きいような気がします。CH1はフォトマルのパルスが小さいから、ノイズをカウントしてしまっているのかもしれません。アナログ部でゲインを調整するか、ディスクリをきつくしたほうがいいのかもしれません。


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