ZYNQ搭載 ADCボード「Cosmo-Z」>その他>大江戸線一周ミューオン計測

大江戸線一周ミューオン計測

9月7日、弊社スタッフが、Cosmo-Zを持って都営大江戸線を一周して、宇宙線+バックグラウンドの量を測ってきてくれました。

最近のCosmo-Zは、持ち運びに便利なように光電子増倍管とともにアクリルの円柱に入れられて、モバイルバッテリで動き、とてもポータブルなのです。

ミューオンというのは、大気の上層部で作られる素粒子で、重い電子のようなものです。24時間あらゆる方向から地上に降り注いでいます。コンクリートくらいなら透過することができ、高エネルギーのミューオンは地面の中を数百メートルから数キロメートル透過することができます。

重く厚いものを抜けてくるとミューオンは数が減るので、ミューオンの方向や数を計れば、どのくらいの厚さ・密度のものを通り抜けてきたかがわかるというわけです。(数が少ないほど重いものを抜けてきたということ)

大江戸線で測ってみた

大江戸線で都庁前から都庁前まで一周したときの、1分間あたりのプラスチックシンチレータのカウント数をグラフにしました。横軸に駅名が書いてありますが、おおよその目安です。

東京都交通局のWebサイトに駅の深さが載っているので、これを一緒にプロットすると、

ほとんどの駅でカウント数は地上よりも少ない値になりました。都庁を離れて遠くのほう(海側)のほうが全体的に低い傾向がありますが、相関があるのかないのかよくわからないというのが正直なところです。

原因として考えられることは、

  • 「地下深さ」が実は海抜を表している
  • カリウム40やラドン娘核のからのγ線を測っている
  • 電車のモータからのノイズ等を測っている
  • 周囲のビルが山の役割をしている

などです。

地下の深さを補正する

まず、「深さ」が海抜を表していると仮定して、国土地理院のWebサイトから各駅の標高を調べて地下鉄駅の深さに加算し、地面の厚さを求めました。

これで、深さと海抜を足して、地面の厚さにしています。

ディスクリをかける

得られたパルスはこのような波形になっています。光電子増倍管は2個あるので、2ch分の波形があります。

この高さの分布からエネルギーの分布が求められますが、高エネルギーのものだけをカウントするようにします(ディスクリという)。こうすることで、40Kやラドン娘核からのγ線、その他ノイズを排除できます。

 

補正されたミューオン数

こうして求めたのが次の図です。

 

地下鉄駅の上の地面の厚さと、カウント数に相関関係が見えてきました。

  • 地面が厚い方が、カウント数が減る
  • 2つの光電子増倍管のカウント数の傾向が似る

この二つの特徴が見えてくるようになりました。

 

もう少し頑張って、地面の厚さとカウント数の相関関係を求めてみましょう。

誤差を全く考慮していないのでいい加減なグラフで、はっきりとはしませんが、相関があるように思えます。地上では毎秒60カウントあったのに、地下では20カウント以下に減ってしまいます。

ただ、減り方が急な気もします。

この計測システムでは、2つのシンチレータと光電子増倍管が垂直に配置されています。2つの光電子増倍管からのパルスが同時であれば、それらを貫く方向(つまり真上)から来た高エネルギー(約3MeV以上)の何かを測っているといえます。おそらく、地下では斜めからくる成分は減衰が大きくて、垂直に来るものの割合が増えているためでしょう。

いろいろ新たな疑問も湧いてくるのですが、Cosmo-Zでミューオンが測れていることがわかっただけでもよかったといえるでしょう。

次は飛来方向の分布について調べる方法を考えてみたいと思います。

(内藤)


© 2015 TokushuDenshiKairo Inc. All rights reserved