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JTAGに架ける情熱

 私が電子回路を仕事として選ぶことになったのは、DNAに刻み込まれていたことだったのだろうと思います。私自身の記憶にはありませんが、父が趣味で真空管アンプやスピーカーを自作する姿を見て育ち、物心つく前から半田ごてでいろいろなものをつけて遊んでいたと聞きます。

 

          

 

ー 基板に手を触れずに信号の状況を調べたい

大学では物理を専攻し、量子力学を研究しました。電子回路は自分で勉強できるが、物理は実験設備がある大学でなければ勉強できないと思ったからでした。ここで実験のための自作したツールが現在の仕事に結びつくことになったのです。

大学院では、シングルモードの半導体レーザーを使い原子を一つ一つ操作する装置を作っていました。しかし、使用している実験用ハードウェアの回路を調べようとして基板に手を触れれば、ケーブルをひっぱってしまって、せっかく何時間もかけて調整したレーザービームの光軸が合わなくなる…そこで、遠隔操作で回路の状態を見たり操作できるようにツールを作りたいと思ったのです。

しかも、いまある装置を変えるのは大変ですから、ICに元から付いている「工場出荷時の検査モード」というやつが使えないかなと思ったわけです。それがJTAGだったのです。

大学院を卒業すると、電機関係ではあるが、電子回路はやっていないメーカーに就職しました。電子回路が好きでも、電子機器関係の会社に就職すれば好きなことばかりしているわけにはいかない。あえて趣味と仕事を分けることにしました。

その時は趣味で、JTAGを使ってFPGAやCPLDに書き込むプログラムを作っていました。XILINXは1997年ごろから使っていますが、Foundation(FPGAのツール)についていたiMPACTという書き込みソフトがあまりにも使いにくかったので、自分でJTAGプログラマを作ったのです。

それがNAXJPというソフトでした。NAhitafu Xilinx Jtag Programmerの略です。そのNAXJPにバウンダリスキャンの機能を付けたのが、私のバウンダリスキャン人生のはじまりです。

 

ー 「MITOUJTAG」の開発

そんな私が、未踏ソフトウェアの創造事業のプロジェクトに応募したのは、大学院時代の友人の勧めがあったからです。いささか志の高い計画書を出したため、ぐちゃぐちゃになっていたNAXJPのプログラムを最初から作り直し、間に合わせるのは大変でした。それでできたツール「MITOUJTAG」を公開すると、ダウンロード件数は1万件に上ったのです。

ハードウェアの開発では、信号を観察するためにオシロスコープで回路の信号の状態を1本1本調べることが難しくなってきており、組み込み機器の開発では、マイコンを載せた基板のテスト段階で、CPUが暴走しているのかどうか基板の配線が間違っているのか、どこがどう動いているのかを見極めるのが厄介です。

「MITOUJTAG」は、ICを載せた基板のJTAGポートに繋いで、ICポートすべての信号の状況を赤や青の表示で全体的に掴んだり、信号の波形を表示することができるのです。

    

          

 

オシロやロジアナのプローブが当てられない基板でも、JTAGの4本の線をつないでおけば端子の状態が見たり操作したりできるのですから、JTAGを知っているかいないかで、回路のデバッグ効率というか、開発のスピードが全然違ってきますよね。

 

ー 好きな電子回路で会社をつくる

 

2004年に会社を設立し、「MITOUJTAG」を商品化しました。現在はUSB接続ケーブルやサポート付きのパッケージ・ソフトウェアを開発しています。

”JTAGでこういうソフトを作っている会社はウチしかない”

という自負はあり、ニッチでも独自の技術で信頼される会社でいたいと思っています。

また、ウチはJTAGのツールを作ると同時に、受託開発でFPGAを使ったボードを作ったり、自社製品でもFPGAボードを作っています。好きな電子回路を思う存分楽しんでいるわけです。

受託だと、顧客の要望を満たすために最新のFPGAやCPUを使います。

(当時の)最新FPGAを使ったり、ルネサスのCPUを使ったりしてきたわけです。当然ながらBGAだらけになります。FPGAをいっぱい使ったBGAだらけの基板を作りながら、そのデバッグに自社のJTAGツールを使っているわけです。

そうやって、最新のFPGAにMITOUJTAGを対応させるべく発展させてきました。MITOUJTAGはXILINXとルネサスのCPUは頑張って対応させてきました。

 

 

最近では、基板検査のお客様が多いですね。MITOUJTAGを基板検査に使いたいというご要望をよくいただきます。他社の基板検査ツールと比べると10分の1の価格なのに、やりたいことができる、といっていただけます。

特に日本の産業機器メーカー様では、ルネサス製CPUを使うところが圧倒的に多い。

私も頑張って基板検査機能をいま作っているところです。

 

ー 夢を持ち続ける

近い将来、MITOUJTAGを現代風にアレンジし、2015年風のビジュアルなデザインに改良したいなと思っています。だいいち、最近のPCの画面は横長だし、フルハイビジョンサイズの解像度になると、16×16のボタンは小さすぎて押しにくい。

次は、現在のMITOUJTAGの古臭いデザインを一層して、現代風にしたいと思いますが、私は今でもまだBorland C++ Builder 6という10年前のCコンパイラを愛用しているのですが、さすがに古くなってきてしまいました。(笑)さすがにこれを変えなければできないですね。

 

現代風のソフトにするとなると、ネットに対応させなければならないし、データファイルの標準形式はXMLにしなければならない。COMを使ってユーザがプログラムを拡張できるようにもしたい。モバイル環境でも動くようにしたい。MITOUJTAGのユーザ同士が会話してお互いにノウハウを教えあえるようなSNSも作りたい。

そういうことをしたいので、コンパイラからすべてひっくり返すような大変革を予定しています。

これからも、もっと多くのお客様に親しまれ愛用して頂きたい思いを込め、さらに進化し続けるMITOUJTAGに期待して頂きたいです。