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故障と修理

平成22年9月2日

弊社のSpartan-6評価ボードにおきましては、電源を投入してからの数10μ秒の間、FPGAのコア電源である1.2Vに過大なオーバーシュートが発生するという現象が生じていることが判明いたしました。このため、FPGAの電源に瞬間的に過大な電圧が加わっていることになり、危険な状態となっております。

また、ごくわずかではありますが、ES品のFPGAを用いた本製品(平成21年9月〜平成22年7月ごろまでに出荷したもの)におきましては、電源がショートモードで故障するという不具合が報告されています。このような故障とオーバーシュートとの因果関係は確立されてはいませんが、FPGAが故障する可能性を減らし、今後の不具合を予防するため、無償修理と回収を行わせていただくことにいたしました。

対象となる商品は、平成22年8月28日ごろまでに出荷した当社製Spartan-6評価ボードで、基板の表面にオレンジ色のコンデンサ(酸化ニオブコンデンサ)が搭載されていないものです。

修理は基本的には当社で行わせていただきますが、作業自体は簡単に行えるものですので、ご希望のお客様には当社から交換用部品を送らせていただいて、お客様サイドで行っていただくこともできます。

本文書の末尾に修理回収依頼用FAXシートを用意いたしましたので、ご記入のうえ、当社までFAXでお送りください。また、Webのフォームでも受け付けを行っております。

お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

なお、平成22年9月以降に出荷しているボードはすべて対策済みです。

1.対象商品

・特電Spartan-6評価ボード TKDN-SP6-ES (ES品搭載版)

・特電Spartan-6評価ボード TKDN-SP6-16 (プロダクト品搭載版)

・特電Spartan-6評価ボード TKDN-SP6-45 (プロダクト品搭載版)

 

 なお、基板表面にオレンジ色のコンデンサが追加されているものはすでに対策が施された製品です。8月28日ごろ以降に出荷を行ったものは対策が行われています。8月中旬ごろからは電解コンデンサが追加されたものを出荷いたしましたが、その後の検査で対策が不十分と判断されました。電解コンデンサが追加されたものも本回収の対象です。

 

未対策の製品の写真(回収修理の対象

LDOにLD1117S12TRが実装されており、酸化ニオブコンデンサがないもの。

写真左の電解コンデンサが黒いものは特性が悪い。

LDOの上に電解コンデンサが追加されたものも対策が不十分なので、LDOの交換とコンデンサの追加が必要。

対策済みの製品の写真

LDOがZLDO1117-12に交換され、酸化ニオブコンデンサが追加されているもの。

コンデンサが赤色、青色、紫色のものは尚良い。

 

2 問題の概要

電源投入時に、1.2V電源に過大なオーバーシュートが発生します。

 

3 問題の生じる原因

本ボードでは、1.2Vの生成にドロッパ型レギュレータIC(以下、LDOと略す)を使用していますが、現在使用しているLDOは出力コンデンサのESR(等価直列抵抗)が低いと不安定になるという性質があります。

 

しかしながら、1.2VのラインにはLDOの出力コンデンサだけではなく、FPGA電源のバイパスコンデンサ用に多くの積層セラミックコンデンサが並列して接続されています。積層セラミックコンデンサのESRは低いため、電源投入時にオーバーシュートが発生するものと推定されます。

 

4 対策方法

電源投入時のオーバーシュートをFPGAの絶対最大定格である1.32V以下に抑えるため、以下のとおり部品の交換を行います。この対策の順序は重要度の高いものから並べています。

 

 ?  LDO(STMicro社LD1117S12TR)を、Diode Inc社のZLDO1117-12に交換します。(必須)

 ?  LDOの出力に33μFの酸化ニオブコンデンサを追加します。(必須)

 ?  電解コンデンサを低ESR品に交換します。(オプション)

 ?  ノイズリダクション用コンデンサを0.047μFに交換します。(オプション)

 

?と?の対策を行うことで、オーバーシュートを安全なレベルに抑えることができます。

 

?と?対策後の電源立ち上がり波形

(5V DC入力ジャックを抜き差しした場合)

オーバーシュートは最大で1.30Vに抑えられています

?と?対策後の電源立ち上がり波形

(USBのコネクタを抜き差しした場合)

オーバーシュートは最大で1.27Vに抑えられています

 

?と?の対策を行うと、さらにオーバーシュートを低減することができます。

ただし、この作業の難易度は高いため、必須ではありません。

?対策後の電源立ち上がり波形

(5V DC入力ジャックを抜き差しした場合)

オーバーシュートは最大で1.26Vに抑えられています

?対策後の電源立ち上がり波形

(USBのコネクタを抜き差しした場合)

オーバーシュートは最大で1.23Vに抑えられています

 

 

5 回収修理のご依頼

本問題に対する修理方法は、

 ? 当社に基板を返送して修理させていただき、その後、お客様にご返送させていただく方法

 ? 当社から貴社に交換用部品を送付させていただいて、お客様サイドで交換していただく方法

の2つのオプションがあります。

 

いずれの方法も無償で行わせていただきます。

当社で修理を行う?の方法では、運送時間も含めると3〜4営業日程度かかります。また、1日に修理可能な数量は4個程度ですので、ご注文が混み合っている際にはお待ちいただく場合もございます。

貴社に部品を送らせていただく?の方法では、即日〜1営業日以内に発送いたします。

 

回収・修理、または交換用部品の送付をご依頼される方は、以下のシートをダウンロードしFAXでご送付ください。もしくは、Webフォームからご依頼ください。追って、その後の手順をご連絡させていただきます。

対策を希望されない方やその他の方法をご希望される方も、下記のフォームからご連絡いただければ幸いです。

部品の送付をご希望される場合(お客様サイドにて作業をされる場合)、送付させていただく部品は以下のとおりです。

表1 送付させていただく交換用部品一式

 

部品名

数量

備考

1

ZLDO1117-12(必須)

1個

 

2

酸化ニオブコンデンサ(必須)

2個

予備用を1個含む

3

低ESR 電解コンデンサ

3個

予備用を1個含む

4

積層セラミックコンデンサ
0.047μF 1005サイズ

5個

予備用を4個含む

 

なお、今回の修理の際に、ご希望される方にはオプションで

 ・電解コンデンサの低ESR品への交換

 ・ノイズリダクションコンデンサの交換

 ・HSWAPEN端子のプルダウン(ES版のみ)

を行わせていただきます。

 

このうち、電解コンデンサの交換は作業時にパターンを傷つけてしまうことがあるため、オプションとさせていただきます。(もし傷を付けてしまった場合はジャンパいたします)

 

また、ご希望の方には鉛フリーで作業させていただきます。ただし、鉛フリーの作業は難易度が高いため、作業時にパターンを傷つけてしまう可能性が高くなりますので、あらかじめご了承ください。

 

HSWAPEN端子をプルダウンすると、未コンフィギュレーション時にI/Oがプルアップされるようになります。この改良は、ES品版をご利用のお客様のみ対象とさせていただきます。

 

6 具体的な修正方法

修正個所は、

 (a) U8のLDOの交換 

 (b) コンデンサC81,C82の交換

 (c) コンデンサC78の交換

 (d) 酸化ニオブコンデンサの追加

の4点です。

(a)は必須です。(b)と(d)はどちらか一方を行えば十分ですが、どちらかというと(b)のほうが効果は高いです。(b)と(d)を両方を行うとさらに効果的です。(c)の効果は若干です。

以下、具体的な手順を紹介します。

 

? LDOの交換(必須)

U8のLDOを交換するため、LDOの3本の足に半田を山盛りに盛ります。次にLDOのタブの部分にも半田を山盛りに盛ります。両方の山盛りの半田を交互に暖め、両方とも溶けている状態にします。

下の写真は鉛フリー半田によるものです。設定温度は430℃です。すばやく両方を加熱しながら、約20秒ほどで外れるようになります。一般の有鉛半田を用いる場合は、より簡単にできます。

 

下側の3本の端子を加熱

上側のタブを加熱

 

半田が溶けている間に、ピンセットでLDOを引き上げます。このとき無理な力を加えないでください。半田が溶けている状態は十分な時間保たれるので、無理しなくても外せます。

それから、はんだ吸い取り線で余分な半田を綺麗に拭き取ります。このときもゴシゴシとこすらないでください。

 

溶けている間にピンセットで引き上げる

はんだ吸い取り線で綺麗にする

 

新しいLDO(ZLDO1117)を取り付けて完了です。

 

ZLDO1117を半田付けする

 

 

? 電解コンデンサの交換

C81,C82の電解コンデンサ(黒いもの)を低ESRの電解コンデンサ(青または赤)に交換すると、オーバーシュートは減ります。この電解コンデンサの交換は次のように行います。

 

まず、電解コンデンサの両方の端子に少し余分に半田を盛り、両方とも交互に半田ごてで加熱します。

この端子は熱容量が大きいので、鉛フリー半田の場合は1分近くかかります。有鉛半田の場合はもう少し短い時間で済みますが、コンデンサは基板に非常に強固に実装されているので、外れるまでにかなりの時間がかかります。

半田が溶けてきたら、ピンセットで少しづつ持ち上げます。

ただし、上のLDOのようにポロッと取れることはありません。半田ごてで片方の端子を暖めると、0.2mmくらい動くという程度です。少しずつ少しずつ浮かしていってください。もし、無理に力を加えて引っ張ると必ずパターンが傷つきます。片方のコンデンサを外すのに2分くらいはかかります。

この作業は特に、鉛フリー半田での作業はかなり難しいので、有鉛半田をお勧めします。

 

コンデンサの端子を交互に暖める

コンデンサが外れたようす

 

コンデンサが外れたら、低ESR品を実装します。

低ESR品に交換した後

 

 

? 酸化ニオブコンデンサの追加

電解コンデンサの交換はかなり難易度は高いのですが、酸化ニオブコンデンサの追加は比較的容易です。電解コンデンサの交換を行わない場合は、必ず酸化ニオブコンデンサを追加してください。

 

上のステップで取り付けた新しいLDOの1番ピンと2番ピンの上にピンセットで酸化ニオブコンデンサを乗せ、半田付けします。このとき、茶色い線のあるほう(+側)がZLDO1117の2番ピンになるようにします。

コンデンサをZLDOの上に乗せて実装

線のあるほうが中央のピン(2番ピン)

 

両方の端子に十分に半田を流し込み、ZLDOと確実に半田付けします。

ZLDOとコンデンサの接続を確認

 

 

? ノイズリダクションコンデンサの交換

ノイズリダクションコンデンサ(C78)の容量は、3.3V電源の立ち上がり時間を左右します。3.3V電源の立ち上がりが緩やかだと1.2Vのオーバーシュートは小さくなります。

 

このコンデンサの容量が大きいほど3.3Vの立ち上がりは遅くなるので、できるだけ大きくしたいところですが、実際には0.047uFがベストです。デフォルトでは0.1uFが実装されています。完全に外してしまっても、ボード自身の動作にはそれほど影響はありません。

 

このコンデンサは、ES版では基板表面に、量産品では基板裏面にあります。このコンデンサを0.047uF(473と表記)に交換します。

 

TKDN-SP6-16/45のC78の位置

TKDN-SP6-ESのC78の位置

 

この作業の難易度は比較的低いのですが、部品が小さく、紛失してしまう可能性があるので、予備分を含めて5個お送りしています。なお、?の電解コンデンサの交換と、?の酸化ニオブコンデンサの追加を行っている場合は、あまり効果はありません。

 

これらの改良を行うことで、オーバーシュートは抑えることができます。

もし、当社による交換を希望される場合は、遠慮なく返送してください。

 

7 本件に関するお問い合わせ

本件に関するお問い合わせは、メールにてお願いします。

 

メール送付先 info@tokudenkairo.co.jp

 

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