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JTAG登場の背景

従来から、電子回路のデバッグ(信号波形や論理レベルを観察すること)は、下の写真のようにオシロスコープやロジックアナライザといったプローブを物理的に接触される方法が行われてきました。

 

今から20年ほど前、電子回路はDIPパッケージやSOPパッケージのICが全盛でした。この時代では、プリント基板は両面基板で、ICの端子はプリント基板のどこかに必ず出ていたため、オシロスコープやロジックアナライザといった「針(プローブ)」を使った測定器を使うことで回路上の信号を容易に測定することができました。

 

回路開発時のデバッグも出荷時の検査も、プローブを使うことで直接信号に触れることができたのです。

プロービングによる回路デバッグ

1980年代 両面基板とDIP/SOPパッケージの時代

 

 

 しかし、1980年代~1990年代後半になると、プリント基板が次第に高密度化し、多層化し、部品も小型化が進んでいきました。当然ながら多層プリント基板の内層にはプローブをあてることができません。

 BGAパッケージが登場したことにより、基板の上にはプローブで触ることのできない信号が多く存在してしまうことになりました。

 

BGAや多層基板ではプロービングができない

1990年代後半 BGAと多層基板の時代

 

 幅の狭い表面実装部品や、多層プリント基板が普及し、基板が複雑になるにつれて、プローブを物理的に接触させることの限界がきました。このため、非接触で検査ができる技術が必要とされるようになりました。

 

電子回路の検査を行うために様々な方法が考えられた

 そのような基板では、部品が正しく半田づけされているかどうかを検査することができません。部品が基板に実装される前であれば、基板のパターンのオープンやショートをチェックする装置はいくらでもあるのですが、実装後にその導通を確認したいとなると、非常に難しいことになります。

 

 そこでX線を使って、部品実装後にちゃんと中まで半田付けがされているか、パターンが切れたりくっついていないか、という検査がよく行われるようになりました。(今でも行われています)

X線による基板検査

 

バウンダリスキャンテストの誕生

 それに対して物理的なプロービングではなく、あらかじめICの端子内に電子的なテストプローブを内蔵してしまい、それをシリアル接続で操作しようということも考えられました。ICの中にプローブに相当する回路(スキャンセル・スキャンパス)をあらかじめ仕込んでしまい、それらICの中のテスト回路とワークステーションをシリアル通信で結んで操作するというものです。

 これはスキャンテストといい、主にASICの内部の回路の検査などで用いられていました。

 

 スキャン・テストの中でも、特に、端子の直近に埋め込まれたスキャン・セルを用いるバウンダリ・スキャンというテスト方法が提唱され、次第によく使われるようになっていきました。

 

 

バウンダリ・スキャン・ロジック

 

 なお、ICの中の好きなところにスキャンセルを置くものをスキャン・テストといい、端子の部分に置くものをバウンダリ・スキャン・テストと呼びます。バウンダリ(Boundary)というのは、ICの中と外の境界を意味します。

 

JETAGの結成とJTAGの誕生

 微細化によって検査が難しくなるという事態を予見していたヨーロッパのグループは、バウンダリスキャンテストの方式を統一しようとして、1985年にJETAG(Joint Europian Test Action Group)を結成しました。その翌年、米国の企業も参入したため、Europianを表す"E"が抜けてJTAGとなりました。

 1990年に、JTAGはIEEE1149.1として標準化されました。

JTAG誕生の背景

 こうして、JTAGが誕生しました。

 

まとめ

JTAGは微細化するプリント基板をいかに検査するかという要求から生まれた技術で、20年近い歴史を持ちます。