放射線信号処理回路(DSP)
Cosmo-ZのFPGAには最大32chの下の図のような「放射線信号処理回路(DSP)」を入れることができます。
TFA(Timing Filter Amplifier)
TFAは指数関数的に減衰する信号の幅を短くするために使われます。
CR微分回路とCR積分回路をセットにした下の図のような回路をディジタルフィルタで実現しているため、温度や経年変化がなく、時定数を任意の値にセットすることができます。
抵抗やコンデンサを使うアナログ回路では、100nsや50nsなどといった決まった値にしか設定できませんでしたが、ディジタルならば滑らかに変化できます。

TFAを通すことにより、信号の幅を短くすることができます。
(緑:入力信号 茶色:出力信号 微分時定数0.5us)
BLR(Base Line Restorer)
BLRは、ベースライン回復回路と呼ばれます。放射線のパルス波形を計測していると、コンデンサの結合によりベースラインがシフトしてしまいます。ベースラインがシフトすると、パルスの高さを正確に測れなくなるので、元のベースラインを回復する信号処理が必要になります。

そこで、下の図のような回路をディジタルフィルタで実現することで、ベースラインの回復を行います。

下の図は実際の動作時の波形です。入力(茶色)は0.10Vをベースラインとしていますが、出力(緑)は0Vをベースラインとしているのがわかります。
CFD(Constant Fraction Discriminator)
CFDは、放射線のパルスの発生した時刻で正確なトリガをかけるための回路です。
放射線の信号は、一般的には、レベルでトリガをかけるとパルスの大きさによってトリガのかかる時間がずれてしまいます。

小さいパルスも大きなパルスも、一定の割合でトリガがかかるのが理想的です。
そこで、一定時間ずらした波形と、元の波形を減衰させたものを足し合わせることで、一定の割合でトリガを発生させるCFDという回路が使われます。


CFDを通すと、上の図のように入力(緑)に対して一定の割合のところで出力(茶)がゼロクロスしているのがわかります。
CFDとTFAを用いることで、指数関数的に減衰する波形が下の図のようなイメージで処理されます。

Trapezoidal Shaper
Trapezoidal Shaperは、台形型波形整形回路とも呼ばれます。
半導体検出器などでは、放射線の検出された位置によって電荷収集時間が変化し、立ち上がり時間の違いとしてあらわれます。このことを弾道欠損(ballistic deficit)といい、エネルギー分解能の低下の原因となります。
弾道欠損に対しては、上端が平坦な形になるようなパルス整形を行うのがよいとされています。
台形波形整形回路はそのための回路で、下の図のような構造をしています。

この回路はアナログでは作ることができず、FPGAならではのディジタル信号処理回路となります。
下の図は、シンチレータからの波形で、半導体検出器からのものではありませんが、入力パルス(茶色と黄色)が台形型に整形されている(青とオレンジ)のがわかります。

Gate Generator
ゲートジェネレータは、任意の長さのトリガ信号を発生させる回路です。他のチャネルのトリガ信号を入力したり、他のチャネルへゲート信号を出力してVETOやコインシデンスを取ることができます。
LLD/ULD(Lower/Upper Limit Discriminator)
LLD/ULDは、信号のパルス高さが規定値より高いか、低いかでゲート信号を発生させる回路です。
Peak Hold
ピークホールド回路は、ゲートがかかっている期間、最大値を保持する回路です。ピークホールド回路が計測したピーク値は、MCAへと送られます。

TrigDelay
トリガ遅延回路は、トリガ発生よりも前の事象を見るためのディレイラインです。
Linear Gate
リニアゲートは、ゲートがかかっている期間だけ信号を通します。






